イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「あぁ、じゃ、ぼくちょっとパソコン取ってきますね」
バタバタと駆けていく後ろ姿に、ごめんなさいって心の中で手を合わせ。
ツリーの影からエントランスへ向かう2人を伺う。
そういえば坂田くん、リーズメディカルに行くって言ってたっけ。
課長と一緒ってことは、やっぱり重要な打ち合わせなんだろう。
こんな衆人環視の中じゃ話しかける勇気ないけど……
どうか彼の仕事が上手くいきますように、ってこっそり祈った。
「へぇ、クリスマスツリー。もうそんな季節か」
靴音が止まり、低い声がする。
新条課長だ。
「今年はアットホームな感じだな。去年のやつよりも、俺はこっちの方が好きかも」
え、ウソ! あの新条課長に褒められるなんて!
緩んでしまう口元を押さえつつ、耳はまだダンボをキープ。
だって、どうしても気になるから。坂田くんの返事が。
彼も褒めてくれるかな、気に入ってくれるかな、今年のツリー。
わたしが担当だって話したら、どんな顔するかな――……
「そうですか? 去年と同じにしか見えませんけど、オレには」
え――?