イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ざっと見渡した限り……外見は……微妙に、微妙?
やっぱりうちの会社はイケメン率高いな、って、何失礼なことを考えてるんだ! 何様だ!
大事なのは中身だよね!

気を取り直して、自分のカードに目を落とした。

「えっと……趣味、は……読書、映画鑑賞、でいっか。休日の過ごし方……うーん……掃除……買い物……」

うわ、なんかフツーすぎ?

特記すべきこともない自分の平凡さに、なんとなく気が滅入ってくる。

「“理想のお相手”? え、と……性格を書けばいいのかな、優しいとか? 価値観が似てる、とか……うーん……書きにくいな」

しばらく悩んで、『子ども好きな人』と書き込み、次へ進む。

「タバコとアルコール? そんなことまで書くの?」

タバコかぁ。わたしは吸ったことないけど……
匂いは、嫌いじゃないような気もする。
お父さんも吸う人じゃないのになんでだろう、と首をひねっていたら。
ふわりと。
記憶の中の何かが反応した。

さっきのエレベーター、そこで嗅いだ、渋くて魅惑的な香り――
慌てて頭を振った。

「タバコはダメダメ! 健康によくないもんね。次! アルコールかぁ……」

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