イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

実はわたし、かなりお酒が強い。
両親も強いから、たぶん遺伝なんだと思う。

でも、女性でお酒に強いって、あまりいいイメージないかもしれない。

引かれちゃうかなぁ。
正直に書かない方がいいかも?

男性は逆かもしれないけど――と、そこまで考えた時だった。

ペンが、ピタッと止まった。


――あ、これはここだけの秘密な? オレと中村だけの。


ぶわっと……
脳内にあふれ出した思い出に、思考が洗い流されたみたいに一気にクリアになって。
同時に、ようやく腑に落ちた。


――他の奴ならともかく、坂田でしょ。

どうしてあの時、飛鳥の言葉に反発したくなったのか。
モヤモヤが残ったのか。

だって、“飛鳥は知らない”から。
そして、“わたしは知ってる”からだ。

記憶の底にこびりついた、とあるシーン。
それは、彼と初めてまともに言葉を交わした時のものだ。
たしか……入社1年目の同期会で……


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