イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
だから、自惚れちゃいけない。
言葉から眼差しから、火傷しちゃいそうな本物の熱を感じるなんて。
そんなの錯覚だ。うん。
なんとか手を放してもらおうと、一生懸命体を引くんだけど。
逆にぐいっと彼へと引き寄せられてしまう。
「ささかた、く……っ」
「手、こんなに冷たくなってる。放っとけない」
大きな両手で包み込むように握り締められ、息苦しくなるくらい、彼を意識してしまう自分がいる。
ダメダメ、ダメだったら。
抗うように、かぶりを振る。
お別れするって、トライアルは中止って決めたばかりでしょ。
今別れなきゃ、後で捨てられて泣くのはわたしの方。
だから……
「いいじゃねえか、姉ちゃん。送ってもらえば」
思いっきりKYというか能天気な声が、いともあっさり緊張を破った。
「や、あの……」