イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

金曜の夜、大混雑の山手線に再び飛び乗って、新宿へUターン。
親睦会の会場は駅近で助かった!

息を弾ませながら居酒屋の急な階段を上がっていくと、賑やかな声が聞こえてくる。

案内されたお座敷を覗いてみれば、開始から時間が経ってるせいか無礼講って雰囲気で、席もめちゃくちゃ。

有志の親睦会、って聞いてたけど。
役職がついてる人は来てないみたい。
広い座敷に散らばってるのは20代の社員が中心で、随分騒々しい。

坂田くんの位置は、すぐにわかった。

座敷の奥。
秘書課と営業アシスタントの女子たちに、二重三重に囲まれてる。

彼に近づく? あの中に入っていく?
いやいや、絶対無理でしょう!

自分で突っ込みながら、ぼんやり立ち尽くしていると。

「あれぇ美弥子せんぱーい、どうしたんですか?」

ツンツン、とスカートが引っ張られた。

入ってすぐのテーブルに、栗本(くりもと)光莉(ひかり)ちゃんら、総務課と経理課の数人が固まって座ってる。

「ここ座ってくださいよ、ここ! 何飲みます? チューハイ系?」

誘われるままありがたく隣に腰を下ろして、ビールをお願いする。

「婚活パーティー、どうでした? 終わるの早くないです?」
「う、うん、そうなんだけどね……」

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