イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「少しだけ、座って話してもいいか?」

食事を終え、一緒に食器を洗い終えた頃だった。

坂田くんがそんな風に言って、ソファへと腰を下ろす。
ポンポン、自分の隣を叩いてるってことは、そこに座れってことだよね?

コンパクトなラブカウチを前に、一瞬躊躇する。

本当は、早く帰ってもらった方がいいんだろうけど。
今それを言うと余計に、意識してますって感じもするし……。

迷った末、よし、と腹をくくったわたしは、端っこに浅く腰掛けた。


「昼間は……悪かった」

肩が触れないように、変に身体を緊張させてたから、
唐突に切り出されて、「へ?」って間抜けな返事しか返せなかった。

「避けられ始めた頃から薄々予感はしてたけど、いざ面と向かって言われたらすっげぇ動揺しちまって……その、ごめん。無理やりあんなことして」

キスのことを言ってるんだってわかって。
あのめくるめく感覚を思い出しちゃって……急に室温が上がったような気がした。

「全然お前の気持ち、考えてなかった。もしかして、今日の件以外にもあったんじゃないか? オレのせいで、嫌がらせされたこと。トライアル止めたいって言い出したのは、そのせいなんだろ?」

「え? ううんっ、そんな、それは違うよっ。今日のことは関係ない」

誤解させてしまったらしいと知り、急いで首を振る。

「じゃあ、なんで?」
「それ、は……」

返事に迷っていると、膝の上に置いた手に彼の手が重なった。

「オレは、このまま終わりたくない」

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