イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「一緒のことじゃないの?」
「オレにとっては、全然違う」
「どういう、こと……?」
首を傾げるわたしの頬を撫でながら、切れ長の瞳に灯る切なげな色。
彼の頭の中が読めたらいいのにって、その時ほど強く思ったことはない。
じっと答えを待ったけど、返ってきたのは謎めいた微笑だけだった。
「……今はまだナイショ。トライアルが終わって、お前が自分の意志でオレを選んだら、教えてやる」
「え、何それっ――」
「とにかく、出世に興味はない。まぁもちろん、美弥子がタワマンに住みたいっていうなら努力してもいいけど」
「え、ままさかっ」
ギョッとして、慌ててブルブル。
「い、いいですっ! 結構です、全然住みたくないですっ……!」
全力でお断りの言葉を並べたてると、その男らしい口元がふっと綻んだ。
「な? タワマンに住みたいヤツもいれば、そうじゃないヤツもいる。人生の優先順位とか幸せの基準なんて、人それぞれ違うんだよ。全員が全員出世願望あるとか、勝手に決めつけんな」
トクン。
幸せの基準は、人それぞれ……?