イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
くすぐったいような、甘酸っぱいような心地に、身悶えしそうになる気持ちをぐっと堪えて――わたしは小さく頷いた。
「……いいよ」
「……え、え? マジ?」
すごい。落ちちゃうんじゃないかってくらい、目がまん丸だ。
「えっと、トライアル続行でいい、ってことか……?」
ぷ、って吹き出しちゃった。
「驚きすぎ。逃がさないって言ったくせに」
「言った、けど」
らしくもなく口ごもった彼の腕が、するっとわたしの身体に回されて。
ぎゅっときつく抱きしめられた。
「自信はなかった。もう、ダメかもって……」
一気に全身がゆるゆるって、弛緩していくのがわかる。
戻ってきた、あるべき場所に。
そんな気がして。
あぁやっぱり、この気持ちは誤魔化せない。
わたし、彼のこと……。
「美弥子」
彼の身体が少しだけ離れて、その指先がわたしの顎に引っかかる。
そのまま重力に逆らうように、顔を持ち上げられ――
キスされる。
予感は、すぐ現実のものになった。