イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
は? 不足? 死!?
危険極まりない台詞に、とっさにギュって、携帯を両手で握り締めちゃった。
「何が不足するの? もしかしてちゃんと食べてない? それとも寝てないのっ!?」
焦るわたしの耳に、くすくすって小さな笑い声が聞こえた。
『違ぇよ。そういうことじゃない。そういうことじゃなくて――まぁ美弥子は知らなくていいや。知ったら、引きそうだから』
わたしが……引く?
「なにそれ、気になるんですけど」
ツッコんで尋ねるも、彼は笑うばかりで答えてくれない。
畳みかけようとした矢先、ブツっと笑い声が途絶えた。
『……可愛いなぁ』
代わりにぽつりと、聞こえたのはそんなつぶやき。
「え、えぇっ?」
か、可愛いって言った?
しみじみ、愛しむような声音に、ドギマギしてしまう。
やだな、突然こんなところで何を言い出すの、彼ってば。
「さ、坂田くん。わたし、今外だから――」
『あー転びそう! 転ぶ、転ぶ、あー……やっぱり転んだ』