イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
――どこもかしこも、浮かれた奴らでいっぱいで鬱陶しいし、プレゼントは強請られるし。面倒くさいイベントとしか思えないですね。
ふと思い出した台詞に、目線が自然と下がってしまったんだけど――
「大丈夫ですよ!」
なぜか、自信満々に光莉ちゃんが胸を張る。
「営業の友達が言ってたんですけど、坂田さん、イブの夜はプライベートの予定がもう入ってるそうですよ! その日は残業できないからって」
「え……」
イブの、夜?
「わたし……何も聞いてないけど」
曖昧に首を傾げると、梓沙さんが訳知り顔に何度も頷いた。
「なるほどね。きっと当日、びっくりさせるつもりなのよ。サプライズってやつだわ! 知らんぷりしててあげなさい」
「はっごめんなさい、あたし、バラしちゃった! そっかぁ、素敵ですね、さすが営業部エース!」
わたしを蚊帳の外にして、すっかり盛り上がってしまう。
トライアルだってちゃんと説明したはずなのに、2人の中では、わたしたちの関係がとっくに本気、ってことになってるらしい。
「付き合い始めて初めてのクリスマスだもの。男性としては気合入れるでしょうね」