イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「そりゃそうですよ! やっぱり坂田さんクラスだと、超高級ホテルとか予約しちゃったりするんじゃないですか? シェルリーズのスイートとか? うわ、憧れる~!」
そんなこと……あるのかな?
街がクリスマス一色になっても、メディアでじゃんじゃん煽ってても。
クリスマスの“ク”の字も聞いたことないけど?
「できる男はどんなに忙しくてもツボを押さえてるものだしね。プレゼントはダイヤの指輪、とかあるかもしれないわよ?」
「まさか、そんなプレゼントなんて――」
「きゃあ~羨まし~!! うちの彼氏なんて、あたしよりお給料安いんですよー。指輪なんて絶対期待できないなぁ」
両側から囃し立てられているうちに、なんとなくわたしの気分も上向いてきた。
もしかしたら……ほんとにサプライズ?
トライアルが終わったら、そのタイミングで誘ってくれようとしてる、とか?
「あ、コンビニ寄ってもいいですか? のど飴買いたいんですよー」
「じゃあ私もコーヒー買うわ」
いくら嫌いとはいっても、クリスマスは恋人向けのイベントだし……
抜かりなく考えてる、かも? 隙の無い彼のことだし?
楽観的な想像でテンションを上げたわたしは、弾む足取りで2人の後ろからお店に入って行った。