イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「……あぁ、なるほど。そういうこと」

面倒見のいい彼女があちこちお節介してるって話は、聞いたことある。
営業って仕事柄、いろんな業界に知り合いがいるから。

入社1、2年目あたりまでは、わたしにも紹介しよっか、って言ってくれたっけ。あの頃はまだ自力で見つけられるって思って、断っちゃったけど。

最近はさっぱりそういう類の声、かけてくれないな。
わたしの結婚願望は知ってるくせに……。
そのくせ、他部署の子には紹介するとか、どういうこと?

なんとなく釈然としないものを感じつつ、枝豆をぽいぽい口に放り込んでいたら――……奇跡が起こった!

神様が味方した、としか思えない。

坂田くんが立ち上がり、女子の輪の中から出てきたのだ。
口々にあがる残念そうな声に向かって、「大事な電話だから、折り返さないと。すぐ戻る」と携帯を見せつつ謝り、部屋から出て行く。

電話をかけにいくらしい。

チャンスかもしれない。
今、彼は一人だ。

ほとんど反射的に立ち上がったわたしは。
「ちょっとお手洗いに」って言い訳めいた言葉を残して、後を追った。

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