イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「外へ出て行かれましたよ」
店員さんに教えてもらい、勢いよく飛び出した先。
千鳥足の会社員たちが行き来する路上に、彼らしい姿はない。
え、嘘、もう見失った?
たまにぶり返す、残暑の夜。
それでもさすがに夏とは確実に違うその夜風に吹かれながら、キョロキョロ視線を動かしていると、
数メートルと離れていない場所に、喫煙スペースを発見。
もしかして、と思いつつ近づいて……ビンゴだ。
檻のようにガラスで囲われたその空間、タバコを吸う数人の中に目指す長身があって、ホッとした。
なんだ、電話だって言ってたくせに。
ようはタバコが吸いたかっただけか。
少しだけ呆れてしまいながら、もう一度彼をチラ見。
紫煙を吐き出しながら、気だるげに夜空を見上げる整った顔は、同い年の男子とは思えないほど大人っぽい。
まるでドラマのワンシーンみたいで……目が離せない……
いやいや、何を見惚れてるんだ!
しかもなんか、心臓ドキドキして――って、ありえないありえない。
ぶんっと頭をひと振りし、彼の周囲へ目を走らせる。
やっぱり、というか、いるのは男性ばかりだな。
サラリーマン、それに……うわ、坂田くんからライターの火、わけてもらってる金髪の子、タトゥーが入ってるじゃない。
この中に入っていくのは、ちょっと勇気がいるな。
すぐ戻るって言ってたし、そんなにかからないだろう。
わたしは彼が出てくるまで待ってみることにした。