イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「うおっ! 何やってんの?」

数分後、1歩喫煙スペースから出てくるなりわたしの姿を認めた坂田くんは、ほんとにびっくりしていた。

「え、中村って吸うんだっけ?」

背後を目線で指す彼に、急いで「吸わないよ」とかぶりを振る。
「わたしはその……酔い覚まし」

「酔った? だって来たばっかで、そんなに飲んでないだろ?」

返ってきた言葉に、え、と瞬いた。
わたしがいつ来たかって、気づいてたの?

「全然まだ飲めるよな? 2次会、行く?」

コツン、と足音がして。
彼が店内へと戻ろうとしてることに気づき、「ぁあの、坂田くん!」って、とっさに声を張り上げた。

「ん?」
顔だけ振り向いてくれた彼へ、
「えーと、えーと……坂田くんはどうするの? 2次会」としどろもどろに尋ねる。

「んー……特に考えてねえけど、行くんじゃないか? いつも行ってるし」
「そそっか、……あの、ね。えっと……」

そこで、ハタと気づいた。
今更だけど……なんて切り出せばいいの?

女子に狙われてるよ? 
それとも、避妊はした方がいいよ?
いやいや、直球すぎだ。
西谷さんの名前を出すのもどうかと思うし……

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