イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「美弥子! ちょっとこっち来て!」
出社すると早々に、飛鳥に捕まった。
総務課のフロアまで顔を出した彼女に、給湯室へ連れ込まれたのだ。
ドアを慎重に閉めるなり、きゅっときつい眼差しでわたしを見下ろしてくる。
「恵美から、美弥子と婚活パーティー行くとかラインが来たんだけど、冗談だよね?」
「ううん、本当だよ? あ、この格好あんまりパーティーっぽくない?」
さすがに急に言われても、パーティーファッションなんて整えられるはずもなくて。
今日のわたしは、手持ちのシンプルなクリーム系ワンピース。
仕事が終わってからアクセサリーをつければ、それなりになんとか見えるかな、と思ったんだけど……ダメかな?
「服のことじゃなくて!」
あ、やっぱり?
せっかくだからお茶でも入れようかと、戸棚から取り出した茶葉の缶を、珍しく苛立った飛鳥の手に奪われる。
「それでいいの? 坂田のことは?」
「いいもなにも……終わったんだってば。ライン、送ったでしょ?」
「読んだし、坂田にも確かめた。けど、理由は何? あいつ、自分が悪かったって言うばっかりで……」
「忙しくてすれ違い、かな。たぶん」答えながら缶を取り返す。