イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
実は泣きボクロの美女のことは、彼女には内緒だ。
言えば、坂田くんとケンカしちゃいそうだから。
「段々連絡が取れなくなって自然消滅、的な? わたしもワガママだったのかも。忙しいってわかってるのに、一緒にいたいって思っちゃって我慢できなくて」
「そんなの、好きだったら当然でしょ?」
「うん、わたしもそう思ってたけど……でもやっぱり“エリート営業マンの彼女”は、わたしには荷が重いや」
軽く聞こえるように言うと痛々し気に眉を寄せられてしまい、急いで口角を上げた。
「や、やだな、ほら、割と平気だよ? もともと2カ月でおしまい、って決めてたわけで、予定通りだし。とりあえず、恵美のおかげでクリぼっちは回避できそうだしね」
冗談めかした台詞にも、彼女の表情は晴れない。
そして、「あのね」とためらいがちに口を開く。
「後だしジャンケンみたいなこと言っちゃうと、ここしばらくあいつね、何かおかしかったの」
「おかしい?」
おうむ返しにすると、飛鳥が小さく頷いた。
「ピリピリしてる、っていうのかな。そりゃね、人より担当してるクライアントが多い中で年末進行だし、リーズメディカルのプレゼンも決まったし、大変だろうなっていうのはわかるの。でもいつものあいつなら、繁忙期中でも余裕たっぷりのはずなのに、今は全然それが感じられなくて」