イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ピリピリ……?

そう言えばこの前、確かに顔色よくないな、とは思ったけど……。

「ただのカンだけど、何かあるような気がするの。だからもう少し待ってくれない? あいつとじっくり話して、絶対聞き出すから」

ね、ってこっちを覗き込む大きな目は、真剣そのもの。
自分のことみたいに一生懸命悩んでくれてることが伝わってきて。

あぁ彼女と友達になれてよかったな、って素直に思った。

「ありがとね、飛鳥。でももういいの。忙しいのは飛鳥も同じでしょ? わたしのせいで余計なストレス抱えちゃダメだよ」

「余計なんかじゃないってば! ねぇ、あいつのこと、好きなんでしょう? 簡単に諦めていいの?」

「好きだよ。好きだけど……これ以上追いすがったら、完璧イタイ女でしょ」

もう26歳。いい大人だ。
終わった恋をぐずぐず引きずってちゃいけないよね。
前を見なくちゃ。
うん、そうしなくちゃ。

「もう行くね。今日は残業できないから、頑張って仕事しないと」

「美弥子っ」


追いかけてくる声を振り切る様に、わたしは給湯室から飛び出した。

< 302 / 539 >

この作品をシェア

pagetop