イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
わたしとは、全然違う……
坂田くんの好みって、こういう女性だったの?
彼女が本命、ってこと?
嫉妬と焦り。
醜い二重奏が胸を焦がして、全身から力という力が抜けていくようだった。
「ねえちょっと、セブンスターもマルボロもないってどういうことよ。おいコラ! ふざけんな! マルボロだっ! マルボロ出せー!」
酔っぱらってふざけているのか、彼女はバンバン自販機を叩き始め。
その勢いにビクッと身体をすくめた拍子にキラリと光るものが見えて――……今度こそ本当に、心臓が止まってしまうかと思った。
だってあれは、左の、薬指。
つまり彼女は……既婚者?
どくんどくんどくん……
情報を受け止めきれなくて、脳みそがパンクしそうだ。
これは、これは――どういうこと?