イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
年明けの慌ただしさが、ありがたかった。
滞っていた仕事を次々片づけていると、あっという間に1日が終わる。
そんな風にして、立ち止まって考え込むことも振り返ることもなく1週間あまりが過ぎた、とある平日の終業後のこと。
クリスマスツリーが撤去され、その反動か、以前よりガランと寒々しく見えるグランドフロアでわたしに手を振っていたのは――
「美弥子~おつかれさん!」
「恵美ごめんね、待った?」
白のタートルニットとワインレッドのタイトスカートに、ファーコートを羽織った恵美。
今日はそれでも少しおとなしめ、だろうか。
なんてチラリと考えながら、彼女に並んで歩き出した。
「どう、研修は?」
「んーなかなかなぁ。あたしはやっぱり、会議室でディスカッションするより、現場で動いてる方が性に合っとるから」
さすがの彼女も、慣れない場所での連日の研修はキツイようだ。
でも本社に呼ばれるなんて、それだけ認められてるってこと。
すごいな、って素直に思う。
わたしは……仕事も中途半端、プライベートも中途半端。
婚活って気分でもないし。
しばらく自分磨きとか、した方がいいんだろうか。
習い事? 資格? でも……やりたいことも思いつかないしな。