イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
わたしたちはすぐに、2階へと通されたんだけど……
「ねえ恵美、今お店の人に、『予約した河合です』って言ってたよね?」
恵美の名字は椎名だ。
どういうことかと首をひねりながら、無言でスルーした彼女の後ろから階段を上っていく。
2階はすべて個室のようだった。
スタッフに案内されたのは、奥の一室。
そこをのぞくなり、恵美は――
「きゃー! お疲れ様ですぅ! どーもぉ!」
大げさに叫び、きゃっきゃと両手を振る。
何事かと思ったら先客がいて、わたしたちを見て立ち上がった――スーツ姿の見知らぬ男性が2人。
……え? え?
「ちょっと恵美っ、どういうこと?」
嫌な予感のまま彼女の腕を引っ張って、廊下の隅っこで詰問した。
「みんなで食べた方が楽しいやん。どうせあっちが奢ってくれるから、お金の心配は無用やで? よかったなぁ」
「や、そういうことじゃなくて、これってまるで……」
「合コンやな?」
ニンマリと赤い唇が弧を描く。