イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
恵美は、完全に黒部さんをロックオンしたらしい。
うっとり見つめちゃって、彼のキャリア話(主に自慢)に聞き惚れてる。
自然、河合さんはわたしへと話しかけるわけで。
趣味を聞かれ、休日の過ごし方を聞かれ、仕事のあれこれを聞かれ、……
あたりさわりない返事を返しながら、
合コンっていうよりほぼお見合いだなって、他人事みたいに考えたりして。
恵美の言ってた意味は、すぐにわかった。
話をすればするほど、河合さんはまさしくわたしの理想そのもの。
ザ・結婚向きの人って感じだったから。
転勤の心配はないノンキャリ公務員、
残業はほとんどなく、土日もしっかり休める、
散財するような趣味はなく、しっかり貯金もしてて、気楽な三男坊で……
穏やかな日常、安定した毎日。
そういう将来が簡単に想像できる、そんな感じ。
確かに、こういう人と結婚したいって思ってた。
思ってた、はずなのに……
おかしいな。
気持ちが全然、上向かない。
ドキドキしない、ときめかない。
――まぁ結局、恋愛と結婚は違う、ゆうことなんやね。
円満な家庭を求めるなら、諦めなきゃいけないことがあるんだろうか。
わたしはそっと、目を伏せた。