イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「は? な、何言ってるのっ……」
離れようとするわたしの背を、もう片方の手で押さえ。
上から猛禽類もかくや、って眼差しで見下ろしてくる。
圧倒的な力で押し付けられる固い胸、早鐘を打っているのは彼? それとも、わたしの鼓動だろうか?
ハグされた記憶が蘇り、ぶわっと体温が上昇するのがわかった。
「は、放して……」
ダメだ。
思い出しちゃダメ。
ダメなのに……っ。
これ以上は心臓がもたないって、ギュッと目を閉じてしまった。
すると。
「……自分が女だって、ちゃんと自覚しろ」
ぼそっと声がして、あっさり解放された。
「わかったらタクシー使え。いいな」
「……はい」