イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
反則だよね? なんとも思ってない女、あんな目で見て……。
カン違いしちゃったら、どうするつもりなのよ。
ほんと、タチの悪い男だ。
上の空で歩いていたせいだろう。
気が付くとそこは、休憩コーナーとは真逆のエレベーターホール。
「何してんの」
こっそり自分でつっこんで、急いで振り返った途端――
「ぶ!」
真正面から誰かにぶつかってしまい、イテテ、と鼻を押さえた。
「す、すみませんっ! 前を見てなく、て……」
視界に入ったのは、デニムパンツ。それから……Vネックのニット。
随分くだけた服装なんだなと思いつつ顔をあげて――そして、高い位置にある浅黒いその顔を認めるなり、ギョッと目をむいてしまった。
「ちょっと、一緒に来てもらっていいか?」
それは、制作部の日向さんだった。