イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
半ば強制的に連れてこられたのは、1つ下、制作部のフロア。
え? なんで?
なんでわたしが、こんなところに?
仕事でも、全然絡んだことないんですけど……
日向さんの後ろに従って歩きながら、馴染みのない空間に視線が落ち着かなく動いてしまう。
なんていうか、ここは……カオスだ。
同じ会社の中とは思えないほど散らかりまくったデスクの連なりに、こっそり独り言ちる。
いろんな意味で自由人なんだろう、制作部の人って。
服装はオフィスカジュアルを丸っと無視して、ただのカジュアルだし。
ヘッドホンで音楽聴いてる人もいれば、雑誌を見てる人やお菓子を食べてる人、ヨガしてる(!)人、寝てる人もいて……
しかもみんな自分の世界に入ってて、こっちに誰も注意を払ってないってとこもすごい。
さすが芸術家軍団って感じ。
社会見学のように眺めていたら、「ここだ」と日向さんがフロアの奥、ガラス張りの部屋を指した。
入ろうとしたところで、ダダダっと足音。
ひょろ長い男性が駆けてきた。
「日向さん、どこ行ってたんすか! デザイン、おっしゃる通り10案作りましたよっ」