イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
唇に何かが、当たってる。柔らかい、何か――
な、ナニコレ。
っていうか、これ坂田くんの……
ぷすぷす。
思考回路がショートして、パチパチっと火を噴きだす。
そっと離れた唇。
惜しむように見下ろす切れ長の瞳は、切なげに潤んでいて。
「中村、オレさ――」
でも、その時は何も、考える余裕なんかなかった。
「何すんのよっ! ヘンタイ!!」
バッチン!
夜の歓楽街に、小気味いい音が響き渡った。