イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
2. リベンジ
ドンッ……
「あっすみません!」
ぼそぼそ謝るわたしを舌打ち交じりに颯爽と追い越していくのは、エナジー充填完了って感じのサラリーマンたち。
その進行方向、西新宿のビル群の中に、そびえたつYKDビルディングが見えてきてしまい、自然と肩が落ちていく。
行きたくないなぁ、仕事。
このまま帰っちゃいたい。
右手にはまだ、叩いた頬の感触や熱が残ってる気がして。
うぅ、と気弱な呻き声が漏れる。
週末の間中、もう自己嫌悪の嵐だった。
なんで手が出ちゃったんだろうって後悔して。
だってよくよく考えてみたら、彼みたいな人がわたしを相手にするとか、あるわけないじゃない? ほんのジョークだったのよ。
あのキスだってそう。
誰とだってあの程度のキス、できちゃうんだろう。彼なら。
それを真面目に受け取って、路上で変態呼ばわりしてひっぱたくとか。
営業部期待のホープの顔、あの綺麗な顔を、だよ?
あげくに、何も言わずに逃げちゃうし。
ありえない。
ありえないわ……