イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
2. リベンジ

ドンッ……

「あっすみません!」


ぼそぼそ謝るわたしを舌打ち交じりに颯爽と追い越していくのは、エナジー充填完了って感じのサラリーマンたち。
その進行方向、西新宿のビル群の中に、そびえたつYKDビルディングが見えてきてしまい、自然と肩が落ちていく。

行きたくないなぁ、仕事。
このまま帰っちゃいたい。

右手にはまだ、叩いた頬の感触や熱が残ってる気がして。
うぅ、と気弱な呻き声が漏れる。

週末の間中、もう自己嫌悪の嵐だった。
なんで手が出ちゃったんだろうって後悔して。

だってよくよく考えてみたら、彼みたいな人がわたしを相手にするとか、あるわけないじゃない? ほんのジョークだったのよ。

あのキスだってそう。
誰とだってあの程度のキス、できちゃうんだろう。彼なら。

それを真面目に受け取って、路上で変態呼ばわりしてひっぱたくとか。

営業部期待のホープの顔、あの綺麗な顔を、だよ?
あげくに、何も言わずに逃げちゃうし。

ありえない。
ありえないわ……

< 36 / 539 >

この作品をシェア

pagetop