イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

深夜の会議室、たった一人で作業してた坂田くんの姿が浮かんだ。
アシスタントが誰もいなくて、妙だとは思ったんだ。
そんな背景があったなんて……。
ほんとに、全部一人でやるつもりなんだろうか。


――このままじゃあいつが壊れる。

宇佐美さんの言葉が、やけにリアルに耳の奥に響いて。
ギクリとした。

まさか、そんなことになんて……ならないよね?

そんなの、絶対にダメ。絶対に嫌だ。
なら、どうすれば?

わたしに一体、何ができる?
もう何の関係もない、ただの同期の一人でしかないわたしに……一体……


「あの」

ようやくYKDビルが見えてきて、こっそり安堵の息を吐くわたしの耳に、ウキウキ弾んだ声が聞こえた。

「じゃあ今度はいつ、会います?」
「へ? ……いつ、っていうかその……」
会います? 会う前提なの?

「今度は水族館に行きませんか?」
「す、水族館、ですか?」

「恥ずかしながら自分、デートというものをあまり経験したことがなくてわからないんですが、ネットで調べたところによると、女性は水族館がお好きなんですよね?」

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