イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「だって許せないんです、こんなの。反社なんてデタラメな嘘ばらまいて、坂田くんを貶めようとするなんて。最低じゃないですか。こんな卑怯な嫌がらせで彼の将来に影響がでちゃったら、わたし……」
膝の上で握り締めた拳が、小さく揺れる。
突き上げてくるのは怒りだ。
だってわたし、知ってるもの。
彼が、見えないところでどれだけ努力を積み重ねてきたか。
それが全部、水の泡になっちゃうかもしれないとしたら。
絶対絶対、許せない。
「中村さんは、ほんとに坂田のことが好きなんだね」
「へっ!?」
うわ、まずい。
めちゃくちゃ声、裏返っちゃった。
慌てて両手で口を塞いだけど、遅かった。
2人とも思いっきり、笑いをかみ殺してる。
「いや、そのっ……それは、えと……ちち、違うんです、あの……同期としてっその……」
「いいよいいよ、あー可愛い反応。なんか坂田がハマる気持ち、わかっちゃったな」
……はい?