イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

パッと手を引っ込めて振り向くと、流さんが立っていた。

「こんばんは、流さん」
「こんばんは、美弥子ちゃん。今日はイケメンのナイト2人と一緒なんだね。慎太郎のお友達だろ? あいつ泣くだろうなあ」

笑い交じりに言いながら、手早く空いたグラスを回収、新しいビールを置いてくれる。

「で、3人集まってどんな悪だくみ? もうさっきから何度もうるさく聞かれちゃって困ってるんだよね。あちらはどういう方なのって」

流さんの目を追って店内を見渡せば。
全然気づかなかったけど……確かにOLっぽい女性たちの熱い(ハートマークつきの)視線がチラチラとこっちを伺ってる。

ビジネススーツをストイックに着こなした洗練された美貌の宇佐美さんと、カジュアルかつおしゃれな装いに異国の血を感じさせる日向さん。そのツーショットは対照的で、美しい。

そりゃ薄暗い中でだって、駄々洩れる美形オーラ、隠しきれるわけないよね。


「どんな悪だくみかって? オーナーにはナイショですよ。ね、中村さん」

宇佐美さんから送られた意味深な目くばせに、あはは、と乾いた笑いを返して、こっそりため息をつく。

一緒にいるわたし、絶対“なんであんな女が”って見られてるんだろうなぁ。

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