イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
今更ながら、イケメン2人+わたし、っていうミスマッチ感を自覚して、スツールの上でゴソゴソ身じろぎしてしまった。
も、もう帰ろうかな?
「そういえばオーナーって、坂田と同郷でしたっけ?」
ふいに、そんなことを聞いたのは日向さんだ。
「うん、そうだよ」
「昔のあいつって、どんな感じでした?」
昔の坂田くん……?
質問の意図を掴みかねたのは、わたしだけじゃなかったようだ。
流さんは凛々しい眉をわずかに寄せた後、如才ない笑みを浮かべる。
「今と同じ、頭のいい子だったよ。女子にもモテモテでね」
それだけ言うと、「じゃあ、ごゆっくり」と離れて行ってしまう。
なんだか、質問から逃げた、ような……気のせい?
「日向、今の質問はどういうこと?」
宇佐美さんに聞かれて、バックヤードへと消えていく後姿を見送っていた日向さんがしなやかな動作で向き直った。
「あの人なら、知ってるかもしれないって思ってな。坂田が、反社と関係があるのかどうか」