イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!


「今夜はありがとう、遅くまで引き留めてごめんね。気を付けて」

宇佐美さんと日向さんは、呼び止めたタクシーにわたしを先に乗せてくれて、ドアを閉めた。

「お二人はどうされるんですか? 一緒に乗っていかないんですか?」

窓を開けて声をかけたんだけど、2人とも首を横にする。

「ちょっとだけ、寄っていくよ」

軽くウィンクした宇佐美さんは、タバコを吸う仕草をしてみせる。
そっか、きっとこの先に喫煙所でもあるんだろう。

「じゃあ、わたしはお先に失礼します」

「うん、またね。おやすみ」

「おやすみなさい」

窓を閉めると、タクシーは夜の街へと滑らかに動き出す。

ほどなくして、背の高いグリーンに囲まれた路上喫煙スペースを通り過ぎた。
2人が目指したのは、あそこだろう。

あんなの、まるっきりの屋外。
2月のこの寒さの中で、どうしてそこまで吸いたいと思うのか、ノンスモーカーには理解できないけど。

まぁ個人の自由だ。

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