イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
坂田くんからライターの火、分けてもらって……話しているみたいに見えた。
初対面でも、喫煙者のよしみっていうか、言葉を交わすこともあるだろうし。
あの時は大して気にも留めなかったけど……
もしかしたら、2人は知り合い?
じゃあ、あの夜会社の周辺にあの男がいたのは、偶然じゃなかった?
まさか、待ち伏せしてた、とか?
なんのために?
坂田くんを……脅迫するためじゃないの?
だって友達だとしたら、不審者みたいにうろついてないで、電話なりラインなり連絡を取って、別の場所で落ち合えばいいもの。
そうできないのは、何か後ろ暗い理由があるからじゃない?
あぁでも待って。
あいつが犯人だとしたら、泣きボクロの美女のご主人ってことになるけど……
それにしては、若めに見えたっけ。
じゃあ、ご主人に雇われた、とか?
うーん、あぁもう! 何がなんだかわからない。
頭をかきむしりたくなる気持ちをぐっと堪えて、シートに倒れ込む。
どうつながるのかわからないけど、一応宇佐美さんたちには報告しておこう。
心に決めて、さっそく携帯を取り出した。