イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
17. 危険な三角関係!?
「おはようございます、中村さん」
翌朝の新宿駅。
通勤客の波に乗って改札から出て。
あまりの寒さにマフラーに顔をうずめたところで、いきなり声をかけられ、ビクッと振り向いた。
「かか河合さんっ! びっくりしたぁ」
「あ、おどかしちゃいましたか?」
すみません、と頭を下げる河合さん。
でも、しっかり固められた黒髪はそよとも揺れない。
妙なところに感心しながら、わたしはいえいえ、と手を振った。
「偶然ですね、同じ電車に乗ってたなんて。なんか運命、みたいだ」
照れたような口ぶり、嬉しそうに緩んだ口元……
う、朝から気が重いな。
「近くまでご一緒してもいいですか?」
「えっと、……はい」
頷いて了承し、並んで歩き始めたものの、早くも逃げ出したくてたまらなくなった。
水族館デートの話が蒸し返されるのを阻止するため、とりあえず無難な天気の話――今日はいい天気ですね、から始まり、大寒波到来だけあって寒いですね、来週は温かくなるんですって、暖冬だし今年の桜は早いでしょうか、etc.――でしばらく時間を稼ぐ。
早く職場についてくれ、と祈るような気持で足を速めていたら――ついに。
「デートの話なんですが」
キターーーっ!