イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
いや別に、悪いことしてるわけじゃないんだけど……
それでもなんとなく焦ってしまいながら隣を伺うと、無邪気な微笑み――の中に、なんだか穏やかじゃない色が含まれてるような……うぅ、怖いんですが。
「浮気とは感心しないね。親友の想いを知ってる身としては、あまり賛成できないんだけど?」
「う、浮気って……」
ガクッと肩が落ちる。
なぜか宇佐美さんたちって、坂田くんがわたしのこと本気、みたいに固く信じてるよね?
「坂田くんとわたしはもう終わったって言いましたよね? わたし、フラれたんですよ?」
「嫌いで終わりにしたわけじゃないと思うよ。あいつの気持ちは、僕も日向もよくわかってるからね」
だからーぁっ……そんな風に言われたら、わたしだって女子だ。
期待しちゃうんだってば。
「坂田くんが、そう言ったんですか? わたしのこと好きだって」
思わずジト目になりながら聞けば、あっさり「いいや」と返ってきて……がっくり。
ほら、早とちりだってば。
気落ちするわたしの頭を慰めるようにポンと叩き、宇佐美さんはうっすら、口角を上げる。
「直接聞いたわけじゃないけど、わかるよ。あいつはずっと、君を見てたからね」