イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

確かめる? ……何を?
怪訝な顔をあげれば、引き締まった口元が悪戯っぽく弧を描いていることに気づく。

「あの……?」

「あ、でもその前に、ちょっと目を閉じてもらえる? まつ毛にゴミがついてるんだ」

「え? あ、ははいっ」

唐突な指示に面食らいながら、とりあえず瞼を下ろす。
風が強かったから、埃でもついてたのかな。恥ずかしい。

「動かないで、じっとして」

両肩を押さえられ、顔が近づく気配がする。

……あ、やっぱり喫煙者だってわかる匂いだ。

香水……坂田くんが使ってたやつより、ちょっと甘めかな。
彼のも、イヤな感じはしない。
ちょっと蠱惑的な誘うような……

そして温かい吐息が頬にかかった。



「っに、してんだよっ……宇佐美!」


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