イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

業者さんにお願いして、入口付近に段ボールを運び込んでもらい。
中身を確認、備品をそれぞれの棚へしまい始めた。

バインダーはこっち……ポストイットと修正ペンはあっち……

テキパキ動きつつ、ちらりと奥を伺う。

西谷さんは、さっきと同じ位置で膝を抱えて座り込んだままだ。
ようやく涙は止まったようだけど。

こんなところで一人で、なんて。
一体何があったんだろう?

仕事で失敗したとか、あるいは失恋?
涙の理由は気になるものの、聞かれたくないこともあるだろうし……。
そっとしとくべき?

うーむ、と考え込みつつ、段ボールの底に貼り付いた重たいコピー用紙に手を伸ばした。


「……いい気味だって、思ってるんでしょ」


「いい気味?」


顔をあげると、棚の隙間からぶすっと膨れた泣き顔がこっちを睨んでいた。

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