イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

彼が愛しているのは、他の女性(ひと)で。
わたしは、その他大勢の一人でしかない。

でもそれでいい。

あの笑顔が、また見られるなら。
彼が笑って前に進んでいけるなら、それで。

恋は盲目――まさか自分が、そうなるなんて。

一体いつの間に、こんなに彼に惹かれていたんだろう。
こんなに彼を、好きになっていたんだろう。


不快な感触から逃れようと、思考回路は無意識に楽しかった時間を遡っていく。

26年間の人生で、一番ドキドキして、トキめいた日々。
坂田くん。
あなたと過ごした、あなたに振り回された日々。

思い出すなら……どこから始めよう?

そう。
やっぱり、あの夜からがいい。

ただの会社の同期に過ぎなかったわたしたちの関係が、大きく動き出したあの夜。


10月の、最初の金曜日――……


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