イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「3人とも、相変わらず安定のイケメンっぷりねえ」
もはや呆れたように、梓沙さんが言う。
「そうですね」と頷きかけて、ドキリとした。
ガラスの向こうに、見覚えのあるシルエットが見えた気がしたから――坂田くんだ。
毎朝出勤前、大抵数人としゃべりながらここでタバコを吸ってるんだけど……一緒にいる社員もまた、揃って美形なのよね。
「営業の坂田慎太郎、人事の宇佐美理久、制作の日向智章、YKDの結婚したい男性社員ランキング、トップ5のうち3人がそろい踏みって、さすがに壮観よねえ」
――3人とも今日も素敵っ!
――あ、日向さんこっち見た! 手振っちゃお。
――あ、浮気者ぉ。あんたは坂田さんでしょー!
――だってどっちもかっこいいんだもん♪
まるで檻の中の動物状態なのに。
見られることに慣れてるのか、一向に気にする風もなく談笑を続ける3人。
いつものことながらよくやるよ、と嘆息しながらも、今日ばかりは坂田くんの顔をこっそりチェック。
……よかった、ビンタのアトはないみたい。
普段と変わらない麗しい容姿に、一安心するわたしだ。
叩いちゃったこと謝りたかったけど……この観衆の中で坂田くんに近づく勇気はないな。
後で、飛鳥経由で伝えてもらうとか?