イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「や、っ……!」
後頭部と背中に回った手でがっちり身体全体を固定され、逃げることなんてかなわない。
動揺に緩んだ唇の隙間から、熱い舌がねじ込まれた。
「なにすっ……んん、……っ」
ダメだと思うのに、傍若無人な舌に咥内を余すところなく探られ、瞬く間に身体が興奮していくのがわかった。
何度も角度を変え、ぶつかるように重なる唇、
絡まり、啜り合う舌がつむぐ水音、
籠った互いの息遣い、こすれ合う衣服……
高く低く、どこまでも卑猥な音たちが波のように迫って、聴覚を犯して。
そのたびに全身が呼応して、熱く甘く蕩けていく。
「あ、……っ……、ぁ……んん」
それはまるで、セックスしてるみたいな、全身を愛撫されてるみたいなキス。
もう足はクラゲみたいに全く力が入らず、かろうじて彼に抱えられて立ってるような状態で……
「お前を手放したのは、……誰かに、くれてやるためじゃない……っ」
激しい息遣いの合間、切れ切れに彼が何かを、唸るように喉の奥でささやいたけれど。
ずるずる床に崩れ落ちていくわたしの頭の中はひどく混乱していて、
それを留めておくことができなかった。