イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

ドアへと視線を投げながら、座る位置を間違えたなと反省。
一人だからって遠慮せずに、もっと入口近く、テーブル席に陣取るべきだった。

明日からは、気を付けよう。

心の中にこっそりメモして、不自然に見えないようグラスに手を添えた。
たぶん、誰かを待ってるように見える、はず。

カチャッ

ドアが開く音に、ドキン、と身体を起こした。
視線をやると、それほど明るくない照明の下でもそれがOLっぽい女性2人連れであることが見て取れ、ふぅと肩から力が抜けていく。

違った、か。

今わたしが待っているのは、あのタトゥーの男だ。
実は唯一の接点であるこの店で張り込んで、あいつが現れるのを待つって作戦なのよね。

宇佐美さんたちには何もしなくていいって言われたけど、やっぱりそんなの無理。
自己満足でもいいんだ。
とにかく何かしたい。

だってこの件が解決しないことには、気になって婚活も何も、できない気がするんだもん。

言えば当然、危ないって反対されるに決まってるから、宇佐美さんたちには内緒だけどね。

< 408 / 539 >

この作品をシェア

pagetop