イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!


来ない、なぁ……。

何度かドアの開く音に反応し、そのたびに空振りで。
カウンターにがっくり頬杖をつく。

そりゃね、彼を見かけたのは一度だけだし。
通りがかりに入っただけの一見さんだったら、現れる可能性はほぼゼロ、だよねえ。

流さんがいたら、そういう客を知ってるかどうか、聞けるかと思ったんだけど。
今日はあいにく不在みたい。

まぁそれはそれでいい。
だってわたしがまた何か企んでるとか、坂田くんに告げ口されないとも限らないから。
あの人も、イマイチ読めないっていうか、謎な人だよね。


B・B・B・B……

カウンターの上の携帯が音を立てて震え。
宇佐美さんかと思って急いで開ければ河合さんからで……複雑なため息が漏れた。

【今朝はいきなりすみませんでした。もっとじっくりお話できたらと思っています。今度、ディナーはいかがですか? おいしいもつ鍋のお店があるんです】

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