イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
この街に来てたって言うことは、彼は女性には興味がないのかな?
別に、恋愛は自由だし、わたしには関係ないし、構わないけど。
あんな女子受けしそうな美形なのになぁ。
とはいえ、彼がゲイだとすれば、泣きボクロの美女のご主人ってセンは完全に消える。
これも一歩前進、ってことにしよう。
わたしは駅を目指して歩き出した。
◇◇◇◇
翌日から、本格的に張り込み生活が始まった。
終業後に軽く夕食をとって時間をつぶして、その後ブルームーンへ。
11時近くまで粘る。
もちろん座るのはテーブル席。
入口がよく見え、かつ照明が一番暗くなる場所を選んでいる。
わたしが俄然やる気を出してるのには、理由があって。
流さんが彼のこと、やっぱり知ってたの。
――芸能人かなぁと思ったから、顔は覚えてるよ。けど、時々フラッと来るだけだし、一人が好きみたいで挨拶以上の会話はしたことないし。だから何も知らないんだよ。
それでも、訪れる時間帯は大体同じってことだし、再び会う可能性もゼロじゃないよね――って、張り切って……。
ところが。
期待に反して、来る日も来る日も成果はゼロ。
あの日以降、タトゥーの男が全く現れないのだ。
がっかりしたけど、まぁ焦っても始まらない。
辛抱強く待とう。