イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
19. 迫る影


わぁああああっ……!!


唐突に沸き起こった、ものすごい拍手と歓声の嵐。

一体何事っ? 
と書類を胸に抱きしめつつ、こそっと震源地である営業部のフロアを覗き込んだ。

中央付近が黒山の人だかり。
ほとんど全員じゃないか、ってくらい集まってる。

大きなその輪の中心にいるのは……坂田くんだ!

新条課長や飛鳥が傍らにいて。
坂田くんの背中をバシバシ叩いたり、髪をくしゃくしゃにしたり……みんな笑ってるし、どうやら手荒い祝福って雰囲気。

何かいいことがあったっぽい。なんだろう?
と考えて……ピンときた。
これはもしかすると……

遠巻きに眺めていたら、端っこにいた西谷さんがわたしに気づいて手を振って。
小さく振り返すと、軽い足取りで近づいてきた。

「お疲れ様です、中村さん」
「お疲れ様。あれってもしかして……」

輪を指しながら聞くと、随分印象が変わったナチュラルメイクの顔が綻んだ。

「はい、今さっき連絡が入って。リーズメディカルの仕事、うちで決まりだと」
「そうなんだ、よかった!」

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