イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
ん? さっきは気づかなかったけど……
よくよく見れば、なんと恵美まで入ってるじゃない。
ちゃっかりカメラ目線でピースしたりして。
何やってんの、あの子。デートじゃなかったっけ?
考えつつ、指を滑らせる。
【美弥子も来ない? 一緒に飲もうよ!】
これが5分前。
それから、わたしの返信。
【誘ってくれてありがとう。わたしの分まで飲んどいて】
その後、飛鳥からのスタンプ――ひっくり返ってジタバタ泣きわめいてるマロマロン。
ありがとね、飛鳥。
でもわたしは……行けないや。
隣の椅子に置いたカバンへ、ふと目をやる。
そこから覗いているのは、淡いブルーの小箱だ。
「なんで買っちゃったかな……」
渡せるはずないのに、なぜか手に取ってしまったバレンタインチョコ。
JKか。
まぁ、アンダンテの期間限定アソートだもん。
自分用だよ、自分用。後で食べよう。
もう一度携帯に目をやって、はぁとため息。
有力クライアントゲット、MVP獲得、なんて……
ますます手の届かない人になっちゃったなぁ。
「バレンタインに美女が一人なんて、もったいないよ」