イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
結局その日も空振り。
さすがに、こんなに続くとキツい。
わたしがやってることって、つまるところ無駄なお節介なのかも。
坂田くんは自分の力で悪評を覆して、勝利を手にした。
もう誰も反社なんて気にしてないだろうし、このままタトゥーの男が見つからなくても、なんの問題もなくて……
綾瀬駅を出て、そんなことを考えつつ夜道をとぼとぼ、たどっていたら。
RRRR……
静かな住宅街に元気な着信音が響き渡って、ギクってしちゃった。
焦ったわたしは、アワアワと相手も確かめずにタップ。
「……っはい! もしもし?」
『あー美弥子ぉ?』
間延びした声には聞き覚えがあり、なぁんだと肩を落とした。
驚いて損した。この声は――
「恵美?」
『はいはーい、恵美ちゃんどすえー』
ダメだ。
相当酔っぱらってるっぽい。
背後からは、ざわめきと笑い声が聞こえてくる。