イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「ご、ごめんなさい、あの時はわたし、酔っぱらってて――」
「絶対に許せないよ。運命の相手の顔を、忘れるなんてね」

いやいや、ちょっと待ってよ。
なんで勝手にわたしの運命、あなたが決めるわけ?
って叫びたかったけど。


ぷつっ……

無造作に伸びてきた手にコートのボタンを外され、喉の奥から悲鳴が漏れた。


「いやっやめ……」


ついに前がすべて開き、コートを引きはがすように奪われて。
肌を刺す冷気に、恐怖が際限なく膨れ上がっていく。

どうしよう。
どうしよう。

どうすればいい?

なんとか、逃げる方法はない?
それとも、誰かに連絡する?

携帯は……ダメだ、あいつに奪われて……あぁ床に落ちてる。けど、ここからじゃ手が届かない。

トイレに逃げ込んで、カギをかけるとか?

ダメだ、この力の抜けた足じゃ、立ち上がる前に捕まっちゃう。

じゃあ、じゃあ……一体……

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