イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
……そうだ。
宇佐美さんは、わたしが家についたことを知ってるもの。
もしかしたら電話が切れたことを不審に思って、様子を見に来てくれる可能性だって……。
ゴクッと喉を鳴らして生唾を飲み込み、なんとか時間が稼げないかと思考を巡らせた。
「ど、どうして坂田くんを標的にしたんですか? 目的がわたしなら、最初からわたしを襲えばよかったじゃないですか」
冷静を装った声は、それでも上ずって、ブレブレ。
落ち着いて。
落ち着くの。
きっと、助けがくるはず。
「それじゃあ、おもしろくない。好きなものは、最後まで取っておく派だって、言っただろう? まぁ、個人的にもあいつはいけ好かなかったからね。仕事もプライベートも順調で、何もかも手にしやがって……」
そんなのただの言いがかりじゃない。
坂田くんにはなんの関係もない。
湧き上がる怒りを抑え込むように唇を噛み、相手を睨みつけた。
「っ……こんなことして、わたしがあなたを好きになるとか思います? 運命の相手だって思うようになるとか――」
「あのさぁ」と、うんざりしたような声がわたしの声にかぶさった。
「何か忘れてない? 時間稼ぎなんて無意味だよ?」
「え」