イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
それは、申し込んでいたグループ社員限定の料理教室に空き枠が出たことを知らせるものだった。
福利厚生の一環として開かれる、無料のカルチャーレッスン。
中でもこの料理教室は男女ペアになって作るそうで、シングル社員の出会いの場として大人気なのよね。
ふっふっふ。
めげずに何度もトライしたかいがあったぁ。
ええと、今週木曜の夜か。
はいはい、全然空いてますとも。
ほくほくしながら、さっそく参加申し込みの返信。
梓沙さんたちには、ランチの時に報告しよう。
仕事に集中してるっぽい2人をチラッと見て、腕時計を確認する。
お昼まで、あと少しだな――
ざわっ……
それは、唐突だった。
フロアの端、エレベーターホールに近い方からさざ波のように声が沸き。
総務課の面々も、次々とつられるように顔をあげていく。
「え」
ぽろっと声が出ちゃった。