イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
21. 真相
サラリと、金色に近い茶髪が揺れる。
女性のような、美しいストレートヘア。
黒のMA-1にデニムっていう、彼にしては随分シンプルなファッションだったけど、見間違えるはずはない。
三和土に立ちこっちを見下ろしていたのは――……タトゥーの男だった。
手には、携帯。
じゃあまさかさっきの光は、フラッシュ?
「お、お前っ……」
振り向いた河合さんが、痙攣したように顔を引きつらせた。
「反社の男っ……! なんでっ」
「あぁそうだよ。反社会的勢力の危ない野郎だよ。だからとっととその汚い手、放した方がいいんじゃないの?」
冷え冷えとした声が、周囲を威圧するように響く。
そのまま動けずにいると、ぐいっと腕が伸びてきて。
あっという間に、のしかかっていた身体はわたしから引きはがされ、――……ゴロンと勢いよく後ろへひっくり返った。
ただもう、それを茫然と眺めるしかないわたしの耳に、
「大丈夫?」とすぐそばから声が聞こえ……。
タトゥーの男が、手を差し出していることに気づいた。
「は、はい、大丈夫、です……」
乱れた服を直しながらこくこく頷いて――でもその手を取ることに、束の間躊躇してしまう。