イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!

「あれはただのペインティング。ファッションだよ、わかる?」

ぺ、ペインティング!?
つまり……スポーツ観戦で国旗を描いたりする、ああいう感じ?

「つか、たとえ本物のタトゥーだったとしても、それだけで反社とか、今時そんなこと考えるヤツあんまいないだろうけど?」

「な、な、な……」
パクパク口を開閉させ、河合さんは愕然としてる。

気持ちはよくわかる。
わたしもすっかり、危険な人だって思ってたから。

でもどうやら、彼は反社とは全く関係なかったみたい。

なんだ、そんなんだ。
じゃああの写真がネットに出たって、全然平気ってことじゃない。

ホッとして……ふと視線を落とした床の上に、財布と免許証が落ちていた。
タトゥーの男が、さっきポケットから取り出してたやつよね。

わたしに見せようとしてたのは免許証だったのか、と思いついて――んん? 
目を凝らして、何度も何度も確かめちゃった。


記載された名前が……『坂田英二』だったから。


< 459 / 539 >

この作品をシェア

pagetop