イケメン同期から全力で逃げてますが、逃げ切れる気がしません!
「あれはただのペインティング。ファッションだよ、わかる?」
ぺ、ペインティング!?
つまり……スポーツ観戦で国旗を描いたりする、ああいう感じ?
「つか、たとえ本物のタトゥーだったとしても、それだけで反社とか、今時そんなこと考えるヤツあんまいないだろうけど?」
「な、な、な……」
パクパク口を開閉させ、河合さんは愕然としてる。
気持ちはよくわかる。
わたしもすっかり、危険な人だって思ってたから。
でもどうやら、彼は反社とは全く関係なかったみたい。
なんだ、そんなんだ。
じゃああの写真がネットに出たって、全然平気ってことじゃない。
ホッとして……ふと視線を落とした床の上に、財布と免許証が落ちていた。
タトゥーの男が、さっきポケットから取り出してたやつよね。
わたしに見せようとしてたのは免許証だったのか、と思いついて――んん?
目を凝らして、何度も何度も確かめちゃった。
記載された名前が……『坂田英二』だったから。